かちかち山の昔話です。
ウサギが、意地悪なタヌキに、おじいさんとおばあさんの仕返しをするお話です。
私が昔に聞いたお話は、とても残酷な場面が多いため、お子さまには向かないと思います。そこで・・・そういった場面をソフトな表現にしたバージョンをお届けします。
この記事では、オリジナルのイラストをたっぷり使った絵本を楽しんでいただくことができます。お子さまにも安心して読んでいただける内容となっていますので是非ご覧ください。
Contents
かちかち山のネット絵本
むかし、むかしの話です~
あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでおりました。二人はとても真面目に働く正直者で、今日も一日中、畑で汗を流しておりました。しかし、そんな二人には悩みが・・・それは毎日のように姿を現すタヌキのことです。
♪お前らの畑なんて、大水で流されてしまえ
♪畑の野菜なんて、ぜんぶ干からびてしまえ
意地悪なタヌキは、ふたりを馬鹿にするように歌うのでした。
「こらっ!!」
おじいさんが一喝すると、タヌキはいつも、そそくさと逃げて行きます。その程度なら良かったのですが、タヌキの悪行は目に余るほどになってきました。
ある朝のことです。
「おばあさん、先に行ってるでな。」おじいさんは、そう言って、朝早くから畑で収穫作業をするために家から出ていきました。すると・・・
目に飛び込んできた光景にビックリ。収穫間近の野菜がいっぱいに実っていた畑が、メチャクチャに荒らされているではありませんか。その犯人は、逃げもせずに、畑を荒し続けています。
そう、犯人はあの意地悪タヌキなのでした。
「大根も、にんじんも、豆も、おいしいところだけ食べてやったぞ」
「お前らは、これでも食べていろ」
タヌキは野菜の食べ残しカスをおじいさんに投げつけて、逃げていきました。
大事に育てた野菜を食べ散らすばかりか、植えたばかりの種まですべて掘り返してタヌキは逃げて行きました。
おじいさんは、そんな意地悪タヌキを懲らしめてやろうと、林の中に罠を仕掛けました。息をひそめて・・・タヌキが現われるのをじっと待つのでした。
好物のサカナに食いついた瞬間、タヌキは、縄にグルグル巻きになって捕まったのです。
「捕まえてみるとお前もかわいいもんだ」そう言って、おじいさんは、タヌキを家に連れて帰りました。
姿はかわいいが意地悪なタヌキです。「絶対に縄を解いちゃダメだよ」そう念を押してから、おじさんは、滅茶苦茶になった畑を直すため出ていきました。しかし・・・意地悪タヌキが、このチャンスを見逃すはずがありません。
ポロポロ、ポロポロ・・・タヌキは涙を流し始めました。どうしたの?と聞くと、タヌキは身のうえ話を始めました。「お前も可哀そうなんだね・・・」おばあさんは、タヌキに同情して、もらい泣きをしました。そして・・・
タヌキを逃がしてやろうと縄を解いた、その瞬間・・・
「全部、嘘だよ!よくも縄で縛りやがったな!!」タヌキが襲い掛かり、おばあさんは大けがをしてしまいました。
畑に出てこないおばあさんを心配して、おじいさんは家に戻って来ました。どうしたの?と問いかけると・・・「今行こうと思っていたの」と言うので、おじいさんはホッとしました。そして・・・
おじいさんが畑に戻ろうと背を向けると・・・「俺が化けてたんだヨ!!」そう言って、タヌキが襲い掛かってきました。そして・・・おじいさんも大けがを負ってしまったのです。
畑に出られないほどの大けがを負った二人を、看病するウサギがいます。いつも二人に可愛がられていた近所に住むウサギで、タヌキの悪行にはとても憤っていました。「何とか、タヌキを懲らしめてやらねば・・・」
ひと晩中、作戦を練ったウサギは、タヌキに笑顔で近づきます。
「ねぇ、ねぇ、タヌキさん」ウサギは、山の向こうに“柴”と“魚”を交換してくれる場所があるんだと、タヌキを誘います。
はぁ、はぁ・・・、これだけ集めれば100匹くらいには交換できるかな?タヌキは必死に集めた柴を、肩に担いで歩きます。「あの山の向こうに交換所があるよ」
カチ、カチ、ウサギは柴に火をつけようと、火打石(ひうちいし)を打ち鳴らします。
「カチカチと音がするけど何の音だ?」
「かちかち山に住む、かちかち鳥の泣き声だよ」ウサギはそう言って誤魔化しました。
重たい柴を担いで歩くためなのか?タヌキの体は熱くなってきました。
「ボー、ボーと音がするけど何の音だ?」
「ボーボー山に住む、ボーボー鳥の鳴き声だよ」ウサギはまた誤魔化しました。
すると・・・まるで電流が走ったように、タヌキの背中にイタミが走ります。
うぎゃーーーっ
タヌキは柴が燃えていることに、やっと気づきました。
タヌキは柴を投げ捨てて、一目散に川へ・・・
どっぽーーーん
・・・と飛び込んで行きました。
う、う~痛てぇ・・・「タヌキさん、ヒドイ目にあったね」ウサギは、ヤケド用の塗り薬を調合しながら、言いました。「この赤い唐辛子入りの薬を塗ればヤケドなんてスグに直るよ♪」
そんなに効く薬なら、たっぷり塗ってくれ。タヌキがそう言うので、ウサギは唐辛子入りの塗り薬を、ヤケドのキズにたっぷりと塗ってやりました。
ハラペーニョ
再びタヌキの背中に電流が走ります。う~・・・この痛み、とてもじっとしていられません。
タヌキは再び、川に飛び込んで行きました。ウサギはその姿を見つめて息をのみました。(さて、最後の仕上げだぞ・・・・)タヌキが川から上がってくると、「ごめーん、薬の調合を間違えたかも・・・」とウサギは謝りました、そして・・・
「お詫びに・・・湖で魚獲りの競争をしよう、大きな泥の舟と、小さな木の舟、好きな船を選んでね」とウサギは言いました。強欲なタヌキは、当然のように大きな泥の船を選びました。「魚がたくさん積めるので有利に決まってるじゃないか」
軽快に進むタヌキの舟に向かってウサギが言いました。「一番深い、湖の真ん中あたりに、魚がいっぱいいるよ」それを聞いて、タヌキの舟はいち早く湖の真ん中に到着しました。しかし・・・
どうも舟の様子がおかしい、泥の舟は、どんどん、水に溶けていきます。そして・・・「ふ、舟が沈む~」あっと言う間にタヌキの舟は沈んでしまいました。
「あっぷ、あっぷ、助けて・・・」タヌキは必死にウサギに助けを求めます。そこへウサギの乗った舟が近づいてきました。助かったぁ・・・
タヌキが、舟の縁に手を掛けようとすると、パチンッ!・・・とウサギが手をはたきます。
「僕の舟に手を掛けたらダメだよ!」
「えっ、溺れちゃうよ~・・・」
それなら岸まで連れて行ってやるけど・・・
「二度と、おじいさんとおばあさんの前に姿を現すな!!」
・・・タヌキは黙って頷くしかありませんでした。
岸に着くと、タヌキは森に向かって一目散に逃げてゆき、二度と姿を現すことはありませんでした。その後、おじいさんとおばあさんは幸せに暮らしたそうです。
めでたし、めでたし。
あとがき・・・
かちかち山のお話はいかがでしたか?
オリジナルが好きな方には少し物足りない内容だったかも知れません。しかし昔話は口々に伝承されていくうちに、どんどん内容が変化したり、その時代の考え方によっては、内容が削除されたり、一部変更されたりもしてきました。
今回お届けしたソフトな内容は、規制の厳しい現代にはいちばんピッタリしているのでは無いかと私は思います。いかがでしたか(^^;?
それでは最後に・・・
このお話の教訓とは何かについてお伝えいたします。
【教訓】悪いことをすると、その報いを必ず受けることになる。
お子さまにもこの教訓をしっかりと教えてあげて下さいね。
私も子供の頃、母親に内緒で冷蔵庫のものを食べると、必ずお腹をこわしたものです。やはり、悪いことをしたので、その報いを受けたのでしょうねぇ・・・
それでは・・・
記事:けいすけ