かれこれ500近く花の記事を書いてきましたが、特に思い入れが深いのは、花にまつわる神話や伝説なんですよねぇ。その理由は昔の人々の花に対する思いがヒシヒシと伝わってくるから。そこで今回は…
花にまつわる神話や伝説を大特集します!

この記事では、たくさんある花の神話や伝説の中から厳選した20のエピソードをご紹介します。
それぞれの花には「花言葉」「開花時期」「誕生花」も掲載していますので、それをヒントに想像を膨らませながらエピソードをご覧くださいね。
Contents
花にまつわる神話と伝説
それでは・・・花にまつわる神話と伝説をご紹介しますが、花名のア・イ・ウ・エ・オ順にお届けしますね。
では順番にどうぞ!
1.アネモネ
花言葉 = 嫉妬のための無実の犠牲・見捨てられた・見放された・はかない恋・恋の苦しみ・薄れゆく希望
開花時期= 3月~5月
誕生花 = 2月19日
春の訪れを告げる西風の神ゼヒュルス。彼は花の女神フローラに仕えるアネモネという名のニンフを愛していました。ところが…

二人の関係に腹を立てたフローラとの関係悪化を恐れ、ゼヒュルスはアネモネを一輪の花に変えてしまったのでした。
⇒「アネモネの花言葉は怖い意味ばかり!由来のギリシャ神話も詳しく解説」
2.アマリリス
花言葉 = 輝くばかりの美しさ・おしゃべり・誇り・強い虚栄心・内気
開花時期= 5月~7月、10月
誕生花 = 5月30日
むかしむかし…アマリリスという内気な羊飼いの娘がいました。彼女はアルテオという青年が好きでしたが話しかけることさえできません。何とかアルテオを振り向かせたい…

そう願ったアマリリスは神のもとを訪れます。そしてお告げに従い、自らを矢で傷付け、滴る血から赤い花を誕生させたのでした。アルテオはその花を気に入り、二人は恋に落ちたのです。
⇒「アマリリスの花言葉が面白い!真逆のメッセージが存在するワケとは?」
3.オトギリソウ(弟切草)
花言葉 = 恨み・敵意・秘密・迷信
開花時期= 7月~8月
誕生花 = 6月24日
平安時代、春頼(はるより)という鷹匠がいました。春頼は鷹の治療の名人で、仲間たちは治療方法を教えろと迫りましたが、彼はその方法を決して教えませんでした。ところが…

春頼の弟が、秘密である薬草のことを口外してしまったのです。怒りに我を忘れた春頼は弟を切り捨てます。それ以来、この薬草はオトギリソウ(弟切草)と呼ばれるようになりました。
⇒「弟切草の花言葉を詳しく!花にまつわる怖い伝説もおしえるよ」
4.オリーブ
花言葉 = 平和・博愛・慈善・知恵
開花時期= 5月~6月
誕生花 = 10月27日
ある都市の支配権をめぐって海神ポセイドンと戦いの女神アテネが争っていました。全能の神ゼウスの仲裁により、二人はどちらが人間に役立つものを作れるかを競うことになります。

ポセイドンは馬を作り、アテネはオリーブを作りました。結果はオリーブを作ったアテネの勝利。それ以来、この都市はアテネイと呼ばれるようになりました。
⇒「オリーブの花言葉とその意味!旧約聖書のお話とギリシャ神話を詳しく」
5.キンモクセイ(金木犀)
花言葉 = 謙遜・謙虚・気高い人・陶酔・真実・変わらぬ魅力
開花時期= 9月~10月
誕生花 = 10月1日
満月の夜、嫦娥(じょうが)という仙女が、月から杭州の西湖を眺めていました。そこでは人間たちが中秋の名月を愛でながら宴会をしています。楽しくなってきた嫦娥は、

キンモクセイの幹で拍子をとる夫のリズムに合わせ舞いを踊るのでした。舞いの後…嫦娥は辺りに落ちた花びらを拾い集め、地上でも咲くようにと、キンモクセイを振り落としてやったのでした。
⇒「金木犀の花言葉の由来とは?花にまつわる中国の言い伝えも紹介するよ」
6.クチナシ(梔子)
花言葉 = 洗練・優雅・喜びを運ぶ・この上なく幸福です
開花時期= 6月~7月
誕生花 = 6月17日
ガーデニアは白が好きな娘で部屋をすべて白に統一していました。ある日のこと、そんなガーデニアのもとに天使が現れます。そして、果実をひとつ渡して言うのでした…

これを育てて花が咲いたらキスをしてほしい。一年後…言いつけ通りガーデニアが花にキスをすると天使が再び現れ、プロポーズをするのでした。ガーデニアは快諾して二人は結婚したのでした。
⇒「クチナシの花言葉を詳しく!縁起が悪くて怖い語呂合わせとは?」
7.クロユリ(黒百合)
花言葉 = 恋・呪い
開花時期= 5月~6月
誕生花 = 8月12日
太閤秀吉の正室 寧々(ねね)は、富山城主の佐々成正からクロユリをもらい上機嫌です。さっそく確執のある相手、側室の淀君(よどぎみ)に珍しい花を自慢するのでした。ところが…

機嫌よく帰ろうとしたとき、寧々は厠に乱雑に活けられたクロユリを発見したのでした。その後、佐々成正はお家断絶になったそうです。

⇒「クロユリの花言葉が怖すぎる!家を滅ぼす恐ろしい黒百合伝説とは?」
8.コスモス(秋桜)
花言葉 = 乙女の真心・謙虚・調和
開花時期= 4月~11月
誕生花 = 9月18日
丘に建つ小屋に心優しい少女が病気の父親と暮らしていました。献身的に看病しながら、時折彼女は、心の通じ合う木こりのヨッシーニと語りあうのでした。

その後、父親が亡くなると、それをいいことに猟師のガストンが強引に結婚を迫ります。少女はヨッシーニと共に逃げますが、ガストンに追い詰められて、最後は、二人ともコスモスに姿を変えたのでした。
⇒「コスモスの花言葉を色別で!由来となった悲しい少女の伝説も紹介するよ」
9.ザクロ(柘榴)
花言葉 = 成熟した美・愚かしさ
開花時期= 6月
誕生花 = 9月26日
太古の昔…女神デメテルは世界に温暖な気候と豊富な作物の恩恵を与えていました。ところが…デメテルの娘ペルセポネが地獄の神プルトンに連れ去られてしまったのです。

全能の神ゼウスの説得でペルセポネは一度は地上へ戻りますが、プルトンの策略でザクロを食べていたため、一年の半分を地獄で過ごすことになったのです。それ以来、世界には冬という季節が訪れるようになったのです。
⇒「ザクロの花言葉!その意味や由来にはギリシャ神話と深い関係があった」
10.シオン(紫苑)
花言葉 = 追憶、君を忘れない、遠方にある人のことを想う
開花時期= 9月~10月
誕生花 = 9月20日
父を亡くした兄弟が毎日のように墓前にきて悲しみに暮れていました。その後…二人は成長して朝廷に勤め始めます。すると、多忙を理由に兄は一切墓参りをしなくなったのです。

その姿を嘆かわしく思った弟はシオンを墓前に植えて、父親を忘れないと誓うのでした。すると鬼が現れて、その立派な志に敬意を表し、未来を予知する能力を授けてくれたのでした。
⇒「シオン(紫苑)の花言葉!その由来には今昔物語の鬼が関係していたゾ」
11.スイセン(水仙)
花言葉 = 自己愛・うぬぼれ・自尊心・気高さ
開花時期= 10月~4月
誕生花 = 1月2日
美少年のナルキッソスはたくさんの女性を虜にしてきました。ところがその態度はとても冷淡で、ある日も彼は森の妖精エコーをひどく罵倒するのでした。

怒った復讐の女神ネメシスは彼に呪いをかけます。その呪いにより彼は自分自身を愛するようになり、やがて徐々に衰弱して、最後は一本のスイセンに姿を変えてしまったのです。
⇒「水仙の花言葉は怖い!ゾ~っとする由来のギリシャ神話を紹介するよッ」
12.チューリップ
花言葉 = 思いやり・博愛
開花時期= 3月~5月
誕生花 = 4月16日
ある村に住む美しい娘のもとに3人の騎士が同時に訪れます。3人はそれぞれの家宝である王冠、剣、金塊を手にプロポーズをするのでした。

どうしても一人だけを選ぶことが出来ない娘は花の女神フローラに頼んでチューリップに姿を変えたのでした。娘は3人の誰も傷付けたくなかったのです。
⇒「チューリップの花言葉を詳しく!黄色がプレゼントに向かない理由とは」
13.ハシバミ(榛)
花言葉 = 仲直り・調和・和解・一致・直感・真実・知恵
開花時期= 3月~4月
誕生花 = 11月13日
むかしむかし…全能の神ゼウスのもとに太陽神アポロンが怒りを露わにやってきました。アポロンが言うにはゼウスの子 ヘルメスが牛を50頭盗んだと言うのでした。

ゼウスが牛を返すと約束しようとしたところ、アポロンの目にヘルメスが作った竪琴が留まり、それを貰うことで仲直りとなったのでした。それ以降もアポロンとヘルメスは交友を深めたといいます。
⇒「ハシバミの花言葉を詳しく!由来となったギリシャ神話も紹介するよ」
14.ヒトリシズカ(一人静)
花言葉 = 隠れた美・静謐(せいひつ)
開花時期= 4月~5月
誕生花 = 2月4日
平安時代末、源義経は愛人の静御前を連れ、兄である源頼朝の追手から逃げていました。しかし妊娠中だった静御前を案じた義経は山道に入る前に別れを告げたのでした。しかし…

静御前は都へ帰る途中に捕まり、鎌倉へ送られることに。そして頼朝と北条政子の前で白拍子を舞うのでした。その後、静御前は出産しますが、男の子だったため海に捨てられたと言うことです。
⇒「ヒトリシズカの花言葉!名前の由来には歴史上の人物が関係していたッ」
15.ヒマワリ(向日葵)
花言葉 = いつわりの富・にせ金貨・あなたを見つめる・崇拝・あなたは素晴らしい・愛慕・光輝・憧れ
開花時期= 周年(最盛期は6月~8月)
誕生花 = 8月17日
水の妖精クリュティエは一目惚れをした太陽神アポロンに告白します。一度は恋仲になる二人でしたが、浮気者のアポロンはすぐに人間のレウコトエに心移りします。

嫉妬したクリュティエは二人を破局させますが、それ以来、アポロンに嫌われることに。失意のクリュティエは来る日も来る日も空を飛び交うアポロンを見つめ続け、そして最後には一本のヒマワリに姿を変えたのでした。
⇒「ひまわりの花言葉!太陽のような花なのに怖いメッセージが付いたワケ」
16.フジバカマ(藤袴)
花言葉 = ためらい・遅れ・延期
開花時期= 8月~9月
誕生花 = 9月25日
秋の夕暮れ。小雨の降るなかを、美しい娘が涙を流しながら野辺を歩いていました。そのひどい悲しみぶりから誰も声をかけることができません。そして翌朝…

雨が上がり、娘のことが心配になって野辺を探してみると、娘の袴と同じ色の花が咲いていたのでした。この花は娘に違いない…皆がそういって、以来この花をフジバカマ(藤袴)と呼ぶようになりました。
⇒「フジバカマ(藤袴)の花言葉!その由来は花の咲き方にあった」
17.マツ(松)
花言葉 = 同情・哀れみ・不老長寿・永遠の若さ
開花時期= 4月~5月
誕生花 = 11月14日
キュベレという女神がマツに寄り掛かりながらワンワンと泣いていました。彼女の話によると、ヤキモチから羊飼いのアッチスをマツに変えてしまったと言います。

あんなに愛していたのに何で?と思いながらも神々の王ユーピテルは、キュベレを可哀そうに思い、マツを冬でも青々と茂る木に変えてやったのでした。
⇒「松の花言葉!縁起の良い木なのにネガティブなメッセージが付いたワケ」
18.ミヤコワスレ(都忘れ)
花言葉 = 別れ・しばしの憩い
開花時期= 3月~4月
誕生花 = 4月2日
承久の乱に破れて佐渡の地に流された順徳天皇。波の音しかしない寂しい土地で、都の華やかな生活を思い、落胆の日々を送っていたのでした。そんなある日…

庭先に白い花が咲いているのを見つけます。その花をとても気に入った順徳天皇は歌を詠み、それ以来、この花はミヤコワスレ(都忘れ)と呼ばれるようになりました。
⇒「ミヤコワスレの花言葉だよ!歴史上の人物に由来するメッセージとは?」
19.ヤマブキ(山吹)
花言葉 = 気品・高尚・崇高・金運・待ちかねる
開花時期= 4月~5月
誕生花 = 4月30日
室町時代のお話。太田道灌(おおたどうかん)という武将が狩りの最中に雨に遭い、とある家に笠を借りに入ります。ところが…家から出てきた娘はヤマブキを載せた盆を差し出すだけ…

バカにされたと思った道灌はその場を去りますが、のちに娘の風流を理解するのでした。娘は貧しくて笠が貸せないことを昔の和歌に喩えて伝えていたのです。
⇒「ヤマブキ(山吹)の花言葉を詳しく!『待ちかねる』の使い方とは?」
20.ワスレナグサ(勿忘草)
花言葉 = 私を忘れないで・真実の愛
開花時期= 3月~5月
誕生花 = 4月5日
ドナウ川に沿った道を騎士のルドルフと婚約者のベルタが歩いていました。するとベルタが川面に浮かぶ青い花を見つけます。ルドルフはベルタを喜ばせたくて川へと入ったのでしたが…

川の流れが速く、鎧をまとったルドルフは身動きが取れなくなります。そして…死を悟ったルドルフは青い花をベルタに投げて、そのまま流されていったのです。忘れないでおくれ…と言いながら。
⇒「勿忘草の花言葉!由来となったドイツの伝説も詳しく紹介しますッ」
あとがき・・・
花にまつわる神話と伝説をご紹介しました。
それでは・・・

記事:けいすけ